タイスケの読書ブログ

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書籍紹介:具体と抽象 世界が変わって見える知性のしくみ/細谷功【著】

 

 

 

 

どんな本?ー「わかりやすさ」の時代に、あえて「抽象化」して考えるー

著者の細谷功さんはビジネスコンサルタントであり、「思考力」をテーマにした執筆や講演活動をされている方です。
今の世の中は「わかりやすさ」が求められる時代です。ネット上には、わかりやすさを重視して解説する動画や記事が多くアップされ、書店では「わかりやすい○○」といった本が多く並んでいます。政治家にも経営者にも「わかりやすい説明」が求められます。

細谷さんは、「わかりやすさ」が求められるのは「成熟期」に入った社会や組織だと言います。しかし、どんな社会や組織も「衰退期」に突入し、「世代交代」という大きな変化が求められる時期が来ます。
そんな変革期に必要な知的能力こそ「抽象概念を扱うこと」です。具体性が重要視される「わかりやすさの時代」には、この「抽象化して思考する能力」が退化してしまうのです。

本書では、そのような「抽象」を扱う方法を、「具体」との対比で「わかりやすく」解説しています。
「抽象度」というのは、世の中をとらえる「共通の物差し」です。この物差しが日常的に使われるようになることで、社会や組織がスムーズに運営されるようになるのではないかというのが、本書の趣旨です。

 

本書は二つのタイプの読者を想定している

まず、抽象概念を扱う思考力を高めて、発想力や理解力を向上させたいと思う「具体レベルの世界」で物事を見ている人です。そのような人は「具体と抽象」の仕組みを理解し、その応用の仕方を学ぶことができます。

もう一つの対象層は、周囲の「具体レベルのみに生きている人」とのコミュニケーションギャップに悩んでいる人です。具体の世界しか見えていない人と、「抽象の世界」を見えている人が意思疎通することは、不可能といえるほどです。そのような読者に対して、コミュニケーションを阻害するメカニズムを明らかにし、改善のヒントを提案します。

 

私がこの本を選んだ理由

私は昔から、哲学などの思想系の本や、小説ではエンタメより人文系のものをよく選んできましたが、最近では、その延長線上で思考法を扱った本も多く読むようになってきました。
本書「具体と抽象」も思考法の本だと思い手に取ってみました。実際、思考法の本ではあるのですが、どちらかというとビジネス向けに書かれた本でした。

しかし、本書を読み進めていくと、確かに自分が仕事や日常のなかで「なんだか話が通じていないな…」と感じたことが、身につまされるように思い出されてきました。
本書は二つのタイプの読者を想定していると先ほど説明しましたが、私はどうやら後者の「”具体の世界しか見えていない人”とのコミュケーションギャップに悩んでいる」タイプの人間に当たるようです。

今このブログを読んでいる方の中にも、そのような「どうやら話が通じていないな…」という経験をしたことがあるのではないでしょうか。
本書は、”意思疎通が出来ていないメカニズム”を明らかにしようとする本です。この本を読んでいただければ、コミュニケーションのモヤモヤを晴らすことができるかもしれません。

 

まとめ

「言いたいことが伝わっていないな、どうして伝わらないんだろう?」と思ったり、逆に「あの人は、わかりにくい言い方ばかりして、何を言っているんだろう?」と思った経験はだれにでもあると思います。

だからこそ、この本は多くの人を対象としているんだと思います。実際に、この書籍が出版されたのが2014年ですから10年読み継がれているわけです。私が読んだのも2024年に発行された第30刷のものでした。

この書籍紹介を読んで興味を持たれた方は、ぜひ本書を手に取って読んでいただきたいと思います。

 

 

Amazonリンク

Amazon.co.jp: 具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ : 細谷 功: 本